伝える力と聞く力
9月27日(日)の試合後のこと。
「今日の試合は体力的に結構きつかったです……」と話すのは神奈川校U-12の副キャプテン・須藤和成選手です。
前半で体力を消耗してしまい、後半は全然走ることができなかったと唇を噛みます。
――すると、近くで聞いていたキャプテン・座間陵大選手が話に加わります。
「カズナリは、今日の試合で8番(中盤)のポジションでした。8番は縦や横など、いろいろな方向を意識しないといけません。それを全部自分ひとりで背負ってしまったから疲れてしまったのだと思います。守備のときにはゴール前まで戻って、攻撃になると相手ゴールまで走っていたシーンが多かったんです」
座間選手はそう話すと「少し言葉は悪いのですが」と前置きをしてから「ときには“サボる”ことも必要なのかなと思います」と言って話を続けます。
「全部自分でやろうとすると疲れが溜まってしまいます。それはチームにとってもプラスにはなりません。僕は8番のときに『どうしたら自分の体力を残すことができるのか?』と考えながらプレーをすることがあります。もちろん、手を抜くとか力を出しきらないということではありません。例えば、自分のペアになる逆サイドの8番の選手に『戻ってきて』とか『ここをマークして』と要求するんです。そうすれば自分が必要以上に走らなくてもいいですし、味方の選手も自身の役割がハッキリすると思うんです」
そんな座間選手からの言葉を、須藤選手は「リョウタありがとう!」と受けとると「良いアドバイスをもらいました。これからは、そういうことも考えてやっていきたいです。試合に負けたのは悔しいですけれど、(リョウタのアドバイスのように)得るものはあったので良い試合になりました」そう言って話を終えました。
今年のチームは、新型コロナウイルスによる活動自粛の影響でスタートも遅れ、夏合宿や遠征も中止になるなど、これまで選手が一緒に過ごしてきた時間は例年よりも少なめです。そのせいもあるのか「試合後の意見交換は去年のチームの方が活発でした」と座間選手は言います。けれども、この日は、ここに書いたエピソード以外にも、試合後のミーティングでは選手同士で話し合いをするシーンがありました。
――チームメイトを尊重しながら“伝えるべきことは伝える”、“受け入れるところは受け入れる”、そういった話し合いがこれから繰り返されることで、選手自身、そしてチーム自体が成長していくことでしょう。